胚移植と血中プロゲステロン値
スペインの研究チームは、「Human Reproduction」にて、血中プロゲステロン値は胚移植結果に影響を与え、胚移植日の血中プロゲステロン値が低い場合、継続妊娠率を低下させると発表した。
女性本人および卵子提供者である第三者の卵母細胞サイクルにおいて、胚移植(胚・受精卵を子宮に戻す)の当日、血中プロゲステロン値/血中黄体ホルモン値が8.8ng/ml以下であった場合、継続妊娠率は低くなるという。
胚移植日の血中黄体ホルモン量と継続妊娠率における関係性
これまで、先行研究(卵母細胞サンプル211個を対象)では、胚移植日の血中黄体ホルモン値が9.2ng/ml以下であると妊娠継続率が低下すると報告されていた。
今回、研究チームは、2017年9月から2018年11月の期間、ホルモン製剤(エストラジオール吉草酸、1日2回MVP400mg服用)にて子宮内膜を人工的に成長させて胚盤胞移植を行った1205人(50歳以下、子宮内膜の厚さ6.5mm以上、胚盤胞1~2個)を対象に、胚移植日の血中黄体ホルモン量と継続妊娠率における関係性を検証した。
なお、被験者1150人は自身の胚を用いており、卵母細胞308個に対して受精卵着床前検査(PGT‐A)を実施した。(PGT‐A未実施の卵母細胞184個)また、第三者の卵子提供のうち、PGT‐A 実施の卵母細胞は658個であった。
妊娠12週以上の継続妊娠率と胚移植直前の血中黄体ホルモン値を計測したところ、血中黄体ホルモン値が8.8ng/ml以下であった場合、継続妊娠率は低くなった。これにより、血中黄体ホルモン値は、妊娠継続率に影響を与える要因であることが認められた。
また、血中黄体ホルモン値とBMI値、体重とプロゲステロン最終投与日と血液検査の間の時間には、負の相関にあった。一方、年齢、身長、ホルモン療法(HRT)の日数とは正の相関にあったという。
(画像はHuman Reproductionより)

Human Reproduction
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