顕微授精・卵細胞質内精子注入法による治療効果
イスラエルの研究チームは、男性起因ではない不妊において、女性が39歳以上の場合、顕微授精・卵細胞質内精子注入法(ICSI)、体外受精による治療効果に大差はないと発表した。
体外受精では、卵巣刺激などによって採取した卵子と精子の受精を体外にて人為的に行う。一方、顕微授精・卵細胞質内精子注入法(ICSI)は、体外受精の一部に含まれるが、顕微鏡を用いて精子1個を極細のガラス管に吸引し、卵子の細胞質内に注入する。
無作為化比較試験による顕微授精・卵細胞質内精子注入法の効果検証
研究チームは、2018年3月から2019年12月に掛けて、単一医療機関の患者60人を対象に治療群(治療を行う群)と対象群(治療を行わない群)に振り分けて無作為化比較試験を実施し、顕微授精・卵細胞質内精子注入法の効果を検証した。
被験者は卵巣刺激の開始前に無作為化(ランダム化)され、治療群には顕微授精・卵細胞質内精子注入法による受精(卵母細胞257個)、対象群には体外受精による受精(卵母細胞258個)を施した。
採卵(採取した卵母細胞)に対する受精率、正常受精卵(2PN胚:正常受精が確認された受精卵)の数、卵割期の胚(発生初期段階における卵細胞の細胞分裂が生じている胚)を比較したところ、正常受精卵の平均数(治療群3.1個、対象群2.7個)、受精率(治療群72.4%、対象群65.1%)と大きな差異はなかった。
また、卵割期の胚(治療群2.8個、対象群2.4個)、平均最高品質胚(TQE)の卵割期の胚(治療群1.7個、対象群1.6個)となり、顕微授精・卵細胞質内精子注入法による治療効果は認められなかった。
それゆえ、研究チームは、男性起因ではない不妊かつ女性が39歳以上の場合、顕微授精・卵細胞質内精子注入法により治療結果が改善させるとは言えないと結論付けている。
(画像はSpringer Linkより)

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