妊娠期の葉酸摂取による影響
カリフォルニア大学デービス校は、「Cerebral Cortex」にて、妊娠期において、葉酸の高用量(安全な上限値1000mcgを超える用量)摂取は胎児脳の発達を妨げると発表した。
今回、動物モデル実験を通じて、妊娠期の母マウスに高用量の葉酸を与えた場合、胎児脳の発達が阻害されることが認められた。
妊娠期におけるビタミン摂取の効果
妊娠適齢期の女性は、葉酸(ビタミンB9、葉酸塩)サプリメントの摂取を広く推奨されている。葉酸サプリメントの摂取により、二分脊椎症(先天的な脊椎骨の形成不全)などの胎児の神経管欠損症リスクは大幅に軽減される。また、妊娠期の葉酸を含むビタミン摂取は、自閉症スペクトラム障がいをはじめ、障がいの発症を防ぐ効果もある。
妊娠期の葉酸摂取量と胎児への影響
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、妊娠期の葉酸摂取量と胎児への影響を検証した。
妊娠中のマウスに対して、高用量(通常量8倍、推奨量10倍)の葉酸を与えたところ、葉酸摂取量の増加に伴い、子マウスの脳に顕著な変化が生じた。妊娠期における高用量の葉酸摂取により、僅かではあるが、胎児脳の構造に際立った相違が認められた。
高用量の葉酸摂取がまねく胎児脳の変化は、葉酸欠乏の場合と類似していた。葉酸欠乏は、脳への葉酸取り込みが阻害されて引き起こり、自閉症スペクトラム障がいと関連性があるといわれる。
また、これまで、子供が神経管欠損症である、てんかんなどの特定疾患に伴い抗けいれん薬を服用する場合、多くの母親が妊娠期に高用量の葉酸を摂取する傾向が認められたという。
研究チームは、動物モデル実験を通じて、妊娠期における高用量の葉酸摂取は、胎児脳の発達に悪影響を及ぼすと結論付け、妊娠適齢期の女性における葉酸の摂取推奨量は1日あたり400mc(安全な上限値1000mcg)であると強調する。
(画像はプレスリリースより)

UCDAVIS HEALTH
https://health.ucdavis.edu/