腸内微生物叢と妊娠糖尿病
トゥルク大学とトゥルク大学病院(フィンランド)の研究チームは、「Gut」にて、腸内微生物叢の構成・機能は、妊娠糖尿病の発症に関与せず、妊娠糖尿病の発症前・発症後における腸内微生物叢の構成・機能に相違はないと発表した。
過剰体重および肥満は、妊娠糖尿病リスクを高めるといわれる。また、腸内微生物叢の構成は、過剰体重、代謝性疾患に関連する。しかしながら、これまで、妊娠糖尿病と腸内微生物叢における関係性は解明されていなかった。
妊娠糖尿病と腸内微生物叢の構成・機能における関係性
研究チームは、過剰体重および肥満の女性270人を対象に糞便サンプルを採取し、メタゲノム解析にて腸内微生物叢の解析を行った。メタゲノム解析は次世代シーケンシングツールであり、糞便サンプルから抽出したDNAを網羅的に解析することで腸内微生物叢の構成・機能を解明できる。
解析結果より、腸内微生物叢の構成・機能は妊娠糖尿病の発症に関与しないことが判明した。また、妊娠糖尿病の女性では、妊娠糖尿病の発症前および発症後において腸内微生物叢の構成・機能に相違は認められなかった。
サプリメント2種類が腸内微生物叢に与える影響
臨床試験ではサプリメント2種類(フィッシュオイル、プロバイオティクス)が母子の健康に与える影響も調査された。
被験者の女性を4グループに分類し、サプリメント1種類とプラセボ(偽薬)、サプリメント2種類、プラセボ2種類を妊娠初期から産後まで摂取してもらい、影響を比較したところ、プロバイオティクスが腸内微生物叢の構成に影響を与えることが認められた。
一方、プロバイオティクスとフィッシュオイルの組み合わせでは、顕著な影響は確認されなかったが、特に、妊娠糖尿病が発症していない女性において、腸内微生物叢の構成を調節した。
なお、プロバイオティクスには、乳酸菌Lactobacillus rhamnosus HN001(ラクトバチルス・ラムノサスHN001)、ビフィズス菌Bifidobacterium animalis ssp. lactis 420(ビフィドバクテリウム・アニマリス亜種ラクティス420)が含まれる。
(画像はUNIVERSITY OF TURKUより)

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