親のストレスと子への影響
ルイジアナ州立大学(LSU)健康科学センターは、「Journal of Investigative Ophthalmology & Visual Sciences」にて、親世代が軽度かつ無害なストレスに晒された場合、子世代の耐病性は高まると発表した。
今回の研究は、哺乳類モデルにおいて、次世代の耐病性を促進させる遺伝性の再プログラミングを示した初の研究と考えられる。
軽度かつ無害なストレスによる適応的な変化
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、軽度かつ無害なストレスに晒されることによって生じる適応的な変化を観察した。
動物モデル実験では、生殖行為前の数ヶ月間、雄・雌マウスを断続的かつ軽度の全身性低酸素症になる環境下に置いた。なお、怪我を負った場合、ヒトによる治療は行わなかった。その後、低酸素症の親マウスから誕生した子マウスを対象に、成体期に網膜の損傷に対する回復力を測定した。
観察結果より、親世代が軽度かつ無害なストレスに晒された場合、子世代の耐病性は高まった。合わせて、損傷に強い網膜を広範囲に分析したところ、怪我の治療を受けていない親マウスの網膜のタンパク質は、通常のタンパク質量と比べて多く、関連する生化学的メカニズムが認められた。
低酸素環境では体内にてエピジェネティックな変化が引き起こり、生殖細胞(精子・卵子)を含め、遺伝子は組織内でタンパク質に変換されるといわれる。運動などエピジェネティックな刺激は多数あり、ポジティブなストレスとなる。つまり、ストレスは全てが有害ではなく、有益なストレスも少なくない。
(画像はプレスリリースより)

LSU Health NEW ORLEANS
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