不妊治療におけるAIシステムの活用
ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ハーバード大学医学部の関連病院)の研究チームは、「eLife」にて、AI(人工知能)システムは、体外受精の胚移植において、着床率の高い良好な受精卵(胚)をヒト以上の精度にて選択でき、体外受精の成功率を向上させると発表した。
体外受精の胚移植に伴い、受精卵を選択するうえで、AIシステムは、胚移植に最も適した良好な受精卵を選択する手助けとなると期待される。
AIによる胚移植に最適な胚の選択
現在、体外受精の成功率は約30%であるといわれる。今回、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院は、マサチューセッツ総合病院と共に体外受精の成功率を改善する目的として、数千枚の胚画像(受精後113時間撮影)およびディープラーニング(深層学習)を用いて、AIシステムを開発した。
AIシステムでは、通常数の染色体をもつ胚から高い質の胚を特定でき、胚移植の成功可能性が最も高い胚の区別・識別が可能となる。胚742個のうち、最も質の高い胚の選択率は90%であった。AIシステムの精度は約75%となり、アメリカ全土の不妊治療センター5機関に従事する熟練した専門家15人(平均精度67%)と比較し、大幅に高くなった。
今回の研究を通じて、胚移植に最適な胚の選択において、AIシステムの可能性が示された。しかしながら、現在、AIシステムの導入には膨大な費用が掛かり、利用できる専門家や医療機関は限定される。それゆえ、研究チームは、不妊治療機関にある顕微鏡にて撮影した画像を評価する補助ツールの開発を進めている。
(画像はBRIGHAM AND WOMEN’S HOSPITALより)

BRIGHAM AND WOMEN’S HOSPITAL
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