子供の肥満リスクを高める要因
バルセロナ・グローバルヘルス研究所(IS Global)は、「Environmental Health Perspectives」にて、大気汚染、喫煙、建造環境と子供の肥満リスクには相関関係が認められ、子供の肥満リスクを高めると発表した。
これまで、複数の先行研究において、環境汚染物質、ライフスタイル要因、都市環境要因が子供の肥満リスクに影響を与えると報告されている。先行研究では、単独の曝露による影響のみが調査されたが、今回、起こり得る健康影響の分析ではなく、複数エクスポソーム(環境曝露)を考慮した。
汚染物質・環境要因と子供の肥満リスクにおける関係性
研究チームは、欧州6ヶ国(フランス、ギリシャ、リトアニア、ノルウェー、スペイン、イギリス)にて実施された出生コホート研究から子供(6~11歳)1300人以上のデータを用いて、汚染物質・環境要因と子供の肥満リスクにおける関係性を検証した。
研究は、銀行財団la Caixa(ラ・カイシャ)と南カリフォルニア大学の協力のもと、HELIXプロダクトの一貫として行われた。子供の過剰体重・肥満状態は、ボディマス指数(BMI)、胴囲、皮下脂肪の厚さ、体脂肪量より評価した。
妊娠期の母親77人と子供96人より血液・尿サンプルを採取し、エクスポソーム(環境曝露)アプローチにて大気汚染、建造環境、喫煙、化学汚染物質(残留性有機汚染物質(POPs)、ヘビーメタル、フタル酸エステル、フェノール、農薬)を含む曝露物質173種を分析した。
分析結果より、社会的地位に関わらず、子供が喫煙(妊娠期の母親の喫煙、幼少期の間接喫煙)、屋外・屋内の大気汚染(PM2.5、PM10、二酸化窒素)、特定の建造環境に晒された場合、BMI値が高まることが認められた。
また、化学汚染残留物質の曝露は、子供のBMIを高める、子供のBMIに影響を与えないと子供のBMIとの一貫性は低くなった。子供のBMIを増加させる場合、血中の化学汚染物質量と過剰体重・肥満において相関関係があると推測される。
研究チームは、今回の研究結果を活かし、更なる研究を行うことによって、子供の過剰体重・肥満、合併症リスクを抑制できると考える。
(画像はプレスリリースより)
IS Global
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