今後の生殖医療において重要な発見
熊本大学の研究チームは、「Cell Reports」(5月26日掲載)にて、DNA損失の修復と男性不妊に関与する遺伝子を発見し、遺伝子C19ORF57が減数分裂(細胞分裂)において非常に重要な役割を担っていると発表した。
C19ORF57は男性不妊の要因に関係があると考えられ、今回の発見は生殖医療にとって大きな前進となる。
DNA損失の修復と男性不妊に関与する遺伝子
減数分裂は特殊なタイプの細胞分裂であり、減数分裂によって精子と卵子が発生する。減数分裂中、減数分裂の組換えを通して、遺伝子情報は、父由来の染色体と母由来の染色体の間にて交換される。このプロセスは、次世代に遺伝的差異をもたらす。
通常、減数分裂の組換えではDNA損失が生じるが、DNA損失は精子の生存を左右する。研究チームは、減数分裂の組換えに伴うDNA損失の修復するうえで、C19ORF57が重要な役割を担うと認めた。
合わせて、マウスを用いた動物モデル実験を行い、ゲノム編集技術にてC19ORF57を抑制したマウスを生み出した。C19ORF57が抑制された雄マウスは、減数分裂の組換えが正しく遂行されなかった。精子は生まれず、男性不妊になった。また、遺伝子がDNA損失を修復するうえで必要な役割を担うことが認められた。
C19ORF57はヒトにも存在するゆえ、今回の研究結果より不妊症の診断・治療が進展し、減数分裂の質は確実となり、不妊リスクは軽減すると期待される。
(画像はプレスリリースより)

Kumamoto University
https://ewww.kumamoto-u.ac.jp/sp/en/news/377/