出生前の抗鬱剤曝露と自閉症スペクトラム障害リスク
テキサス大学オースティン校のジェフリー・ニューポート(Jeffrey Newport)氏は、「The American Journal of Psychiatry」にて、妊娠期の抗鬱剤服用は、子供の自閉症スペクトラム障害リスクを増加させないと発表した。
同氏は、テキサス大学オースティン校のMulva Clinic for the Neurosciences Women’s Reproductive Mental Health programディレクター兼同大学デリメディカルスクール教授である。今回、妊娠期に母親が抗鬱剤を服用することによって、子供の自閉症スペクトラム障害リスクが高まることはないと報告している。
妊娠期の抗鬱剤服用と子供の自閉症スペクトラム障害における関係性
ニューポート氏が研究論文14文献を対象にメタ分析を実施したところ、多くの文献では、妊娠期における抗鬱剤の服用と子供の自閉症スペクトラム障害リスクには関連性が認められた。しかしながら、患者および被験者の1グループが他グループより検査頻度が多くなることで生じる診断バイアスの主要因の解明には至らなかった。
分析を通して、バイアスの根源は、少数民族や移民の母親においてヘルスケアへのアクセスを制限されると判明した。ニューポート氏は、移民やラテンアメリカ人の母親では、ヘルスケアを満足に利用できず、一貫して抗鬱剤による治療率および子供の自閉症スペクトラム障害診断率は低いと指摘する。
一方、家族ベースの研究では、出生前・在胎期に抗鬱剤の曝露を受けた、自閉症スペクトラム障害の診断を受けた子供と抗鬱剤の曝露を受けていない、自閉症スペクトラム障害でない子供を比較し、バイアス問題を排除している。
民族的偏見を排除したうえで、家族ベースの研究では、妊娠期の抗鬱剤服用と子供の自閉症スペクトラム障害における関係性は認められなかった。
(画像はThe University of Texas at Austin Dell Medical Schoolより)

The University of Texas at Austin Dell Medical School
https://dellmed.utexas.edu/