帝王切開に伴うリスク
ハーバード公衆衛生大学院などの研究チームは、「JAMA Network Open」にて、帝王切開出生児は、成人後に肥満および2型糖尿病を発症するリスクが高くなると発表した。
先行研究では、帝王切開により肥満リスクは増し、代謝パラメーターの異常リスクが高まると報告されていた。今回の研究により、帝王切開と肥満・2型糖尿病の発症リスクにおける関係性が認められた。
帝王切開は、年齢など同条件下において、自然分娩・経膣分娩と比べ、合併症リスクは3倍となる。リスクには、心拍停止、出産に伴う感染症、静脈血栓が含まれ、心拍・呼吸の停止などで胎児を除去・排出する必要がある。また、帝王切開児は、呼吸関連の問題が生じるリスクも高まる。
帝王切開と肥満・2型糖尿病リスク
研究チームは、前向きコホート研究「Nurses’ Health Study II」(1989年以降2年おきに更新)の2001年版、母親33000人以上を対象に妊娠期および誕生した子供(娘)に関するデータを分析した。被験者となった子供(娘)は、1946年から1964年の間に誕生した。
分析結果より、帝王切開にて誕生した女性の場合、肥満リスクは37%、2型糖尿病リスクが40%となった。帝王切開における肥満の発症リスクは、経膣分娩と比べて11%増え、2型糖尿病では46%増となった。
一方、妊娠高血圧症候群、喫煙、妊娠糖尿病、母親の肥満、高齢出産などの8要因は除外したところ、帝王切開と経膣分娩に大きな相違は認められなかった。
今回、メカニズムは解明されなかったが、研究チームは、子供の腸内細菌の変化が影響すると推測されている。変化した腸内細菌はエネルギーバランスを制御し、細菌リポ多糖の曝露を受けて慢性的な炎症を引き起こすと考えられる。腸内細菌の異常は、結果として肥満、血糖値の調節における異常を生じさせる。
子供の腸内細菌は、分娩方法によって異なり、経膣分娩にて誕生した子供は、母親の産道を通過することによって母親の腸内細菌がもたらされる。帝王切開の場合、母親からもたらされる腸内細菌は少なく、環境より取り込まれる。それゆえ、肥満を防ぐ作用のあるビフィドバクテリウム・バクテロイデスの数が圧倒的に少なくなる。
(画像はJAMA Network Openより)

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