PCOSの合併症に対する認識不足
ウォーリック大学(イングランド)の研究チームは、「British Journal of General Practice」にて、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状としては不妊症のみが認識され、健康状態への長期的影響に対する認識が不足していると発表した。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では不妊症のみに焦点があてられ、肥満・睡眠障害・多毛症・ニキビなどの症状、2型糖尿病やメンタルヘルス問題の症状進行リスクに対するサポートおよび認識が欠如していると報告した。
PCOSが健康状態に与える長期的影響
研究チームは、PCOSの女性323人を対象にアンケート調査を行い、診断および日常生活における症状について調査した。
調査を通して、被験者の女性83.1%が、PCOSが健康状態に与える長期的影響に関する情報が少ないと感じていた。合わせて、PCOSによる影響では、あまりにも不妊症に焦点が当てられ、他の合併症が軽視されていると回答している。
PCOSでは排卵・月経に問題を生じる可能性が高く、例えば、イギリスにおいて、女性5人に1人がPCOS伴う排卵障害・月経不順である。
PCOSの症状として、不妊症、妊娠可能性の低下は広く知られているが、一方、体重管理困難・体重増加、睡眠障害、2型糖尿病リスク増加との関連性は認識されていない。
また、鬱病をはじめ、メンタルヘルス問題を合併する傾向にもある。しかしながら、被験者のうち74.9%がPCOSに伴いメンタルヘルス問題を経験しているものの、診察を受けたのは34.9%に過ぎなかった。
研究チームは、医療従事者に対して、PCOSにおいて、体重増加、睡眠障害、2型糖尿病リスク増加などの合併症に対する認識を高める必要性を訴える。
(画像はWARWICKより)

WARWICK
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