不妊治療におけるオンラインプログラムの効果
アメリカの研究チームは、「PLOS ONE」にて、不妊治療において、オンラインプログラムの導入で妊娠率が倍増すると発表した。
今回オンラインプログラムを通して不妊に悩む女性の相談に乗り、助言を与えることにより、病院での対面診察と同等の効果が得られると報告された。不妊患者の感情的苦痛・情動性ストレスは軽減し、不妊治療の妊娠率は増加するという。
オンラインプログラムと不妊治療結果における関係性
研究チームは、不妊女性71人を対象に、ハーバード大学ドマーセンター監修オンラインプログラム「MindBody Program for Fertility」の効果を検証した。オンラインプログラムでは全てのコンテンツが対面バージョンであり、インストラクションモジュール(各1時間)10種類にて構成される。
各モジュールにはオーディオビジュアル素材およびテキスト素材が使用され、ストレスおよびライフスタイルが不妊に与える影響、リラクゼーションテクニック (ヨガ、呼吸法、マインドフルネス)、認知行動療法(CBT)、効果的な感情表現テクニック、ネガティブ感情への対処、自己主張・目標設定トレーニングが含まれる。
不妊に伴う大きな精神的苦痛
不妊には、大きな精神的苦痛・ストレス、不安、気持ちの落ち込みを伴う。大きな精神的負担は、恥・罪悪感を助長させ、自尊心を低くする。生活の質は低下し、不妊患者のうち30%から40%が鬱病や不安障害を併発させているといわれる。
鬱状態の女性に対しては不妊治療を行えず、1回目の治療サイクル後に不妊治療を中断あるいは断念する可能性が少なくない。一方、不妊治療に用いられる薬は、副作用として鬱病や不安障害に似た症状を生じさせ、鬱病や不安障害の初期症状と服薬の副作用を見分けることは容易でない。
それゆえ、不妊患者に対して個人カウンセリングを提供することにより、不安・ストレス・気持ちの落ち込みは軽減され、不妊治療の妊娠率が改善する。さらに、オンラインプログラムでは、対面治療を比べて通院に伴う課題(移動時間・距離、診察時間など)は解消され、より多くの患者がカウンセリングを受けやすい環境となる。
(画像はPLOS ONEより)

NEWS MEDICAL
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