胎児脳のニューロンに対する悪影響
ジョンズホプキンス大学公衆衛生学大学院の研究チームは、「Frontiers of Cellular Neuroscience」にて、ヒト幹細胞由来の「ミニ・ブレイン」を用いた実験と通して、選択的セロトニン再取り込み阻害薬「パロキセチン(パキシル、セロキサト)」に有害な副作用が認められ、胎児脳の発達に悪影響を及ぼすと発表した。
「パロキセチン」は、妊娠期の母親の胎盤を通過して胎児まで到達する。現在、心臓・肺の疾患リスクを理由に、妊娠初期における処方・服用に対して警告が発せられている。また、複数の先行研究では、「パロキセチン」が自閉症リスクを高めるとも報告されている。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬「パロキセチン」が胎児脳に与える影響
研究チームは、ミニ・ブレイン「BrainSpheres」を用いて、選択的セロトニン再取り込み阻害薬「パロキセチン」が胎児脳に与える影響を検証した。
これまで、「パロキセチン」は、自閉症を含む神経発達障害を生じさせると指摘されてきたが、従来の動物モデル実験では適切な検証は不可能であった。
ミニ・ブレインは未熟なヒト脳モデルであり、ヒト幹細胞を実験室で培養して作成された。成人の皮膚から採取した細胞を幹細胞に移植し、生化学的に胎児の脳細胞まで発達させた。ヒト脳の発達における細胞メカニズムを模倣している。
今回の実験より、「パロキセチン」がシナプス(ニューロン間の特殊な結合)の成長を阻害し、重要な支持細胞集団を顕著に減少させ、胎児脳に有害な影響を及ぼすことが認められた。
(画像はJOHNS HOPKINS BLOOMBERG SCHOOL of PUBLIC HEALTHより)

JOHNS HOPKINS BLOOMBERG SCHOOL of PUBLIC HEALTH
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