胎児の死亡リスク
カロリンスカ研究所(スウェーデン)は、「Fertility and Sterility」にて、体外受精は、自然妊娠と比べ、妊娠数週間目における胎児の死亡率が高いと発表した。
生殖補助医療の現状
近年、生殖補助医療(ART)は普及し始め、女性は、キャリアを確立した後に妊娠・出産をすることが可能となった。なかでも、体外受精は、生殖補助医療において最も効率的な方法であるといわれる。
母親あるいは第三者卵子提供者の卵巣から成熟した卵子を採取し、体外にて、採取した卵子を父親あるいは第三者精子提供者の精子と受精させる。受精卵は引き続き体外にて培養され、自然と子宮に着床するタイミングにて子宮に戻される。
多くの場合、体外受精は、母子共に健康状態に問題なく、出産に至る。一方、体外受精による妊娠・出産は、自然妊娠と比べ、早産および極低出産体重・低出産体重児リスク、先天性疾患リスク、多胎児妊娠の可能性が高くなるともいわれる。
生殖補助医療と胎児の死亡率における関係性
研究チームは、30年間以上に及び、スウェーデンにて誕生した子供280万人、生殖補助医療サイクル約43500回のデータを用いて、生殖補助医療と胎児の死亡率における関係性を分析した。なお、乳幼児7200人以上は早産にて誕生し、うち114人が生殖補助医療にて授かった子供であった。
調査結果より、体外受精は、自然妊娠と比べ、胎児の死亡リスクが45%増加することが認められた。また、胎児の死亡リスクは生殖補助医療タイプによって異なったが、妊娠1週目の死亡リスクが最も高く、その後は軽減した。
凍結胚を用いた体外受精の場合、妊娠1週目における胎児の死亡リスクは、自然妊娠の2倍となった。一方、新鮮胚による体外受精および顕微授精では、自然妊娠の胎児の死亡リスクと大差なかった。
研究チームは、体外受精において、顕著に早産が増える傾向にあるが、胎児の死亡リスクは早産、低出産体重、未熟児といった結果の指標であると考える。
(画像はScienceDirectより)

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