車の難燃化学物質による健康影響
カリフォルニア大学リバーサイド校の研究チームは、「Environment International」にて、車による長距離通勤・通学者は、座席シートをはじめ、車室内インテリアに使用される難燃化学物質の曝露リスクが高まり、生殖機能に悪影響を与える可能性を示唆した。
これまで、多くの研究では、自動車の大気汚染に着目されてきた。しかしながら、今回、自動車の車内インテリアに使用される難燃化学物質が健康に悪影響を及ぼすことが認められた。
乗車時間とTDCIPP曝露量における関係性
研究チームは、2011年よりゼブラフィッシュ、ヒト細胞を用いて、難燃化学物質である有機リン酸トリス(TDCIPP)による健康影響を検証した。ゼブラフィッシュによる実験を通して、TDCIPPは胚の成長・発達を妨げることが認められた。なお、他の研究文献ではTDCIPPと不妊症に強い関係性があると報告されている。
TDCIPPは有機リン系難燃剤の一種であり、従来の難燃化学物質が使用禁止されて以来、TDCIPPは代替難燃剤として使用されている。従来の難燃化学物質は発がん性物質であり、環境に長期的に残存し、代謝・分解までの時間を要していた。
また、デューク大学の協力を得て、通学時間が15分未満から2時間以上までの学生約90人を対象に、有機リン系難燃剤による健康影響を検証した。学生は、5日間、通学時にシリコーン製リストバンドを着用した。シリコーンの分子構造は、有機リン系難燃剤の構造に似ている。
複数の有機リン酸エステルを分析したところ、学生の通学時間に比例してTDCIPP曝露量が増加した。研究チームは、車での通学・通勤時間に比例してTDCIPP曝露量は増加すると結論付ける。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITY OF CALIFORNIA,RIVERSIDE
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