妊娠中のインフルエンザ感染による影響
7月29日、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(アメリカ)の研究チームは、プレスリリースにて、妊娠中のインフルエンザ感染は胎児脳に悪影響を及ぼすと発表した。
妊娠中の母親が重度のインフルエンザに感染した場合、インフルエンザウイルスだけでなく、母親の免疫反応によって胎児脳がダメージを受け、胎児の神経発達障がいリスク(自閉スペクトラム症など)が増すという。
なお、研究論文は「Molecular Psychiatry」に掲載されている。
妊娠中のインフルエンザ感染と胎児の神経発達障がいリスク
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、妊娠中のインフルエンザ感染による影響を細胞および分子レベルで分析した。
妊娠初期マウスをインフルエンザA型に罹患させ、インフルエンザ感染による影響を細胞および分子レベルで分析したところ、インフルエンザの症状が重症化すると子マウスの脳に変化が生じる可能性が高くなることが確認された。
妊娠中の母親が重度のインフルエンザに感染した場合、インフルエンザウイルスの増殖と母親の免疫反応の活性化により、母親の腸管免疫と胎児の大脳皮質がダメージを受け、胎児の神経発達障がいリスクが増すという。
胎児の神経発達障がいリスクを高めるほど重篤になる母体感染症は、ごく一部に過ぎないものの、研究チームは、妊婦に対するインフルエンザ予防接種の重要性を強調し、妊娠中のインフルエンザ感染リスクを軽減させるように提言する。
(画像はプレスリリースより)
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