妊娠中のTNF阻害薬投与の安全性
11月7日、米国リウマチ学会(ACR)は、プレスリリースにて、TNF阻害薬投与と悪い妊娠転帰における関連性に関する研究を取り上げた。
妊娠中のTNF阻害薬投与は胎児の成長・発達に悪影響を及ばすことはなく、妊娠中の重篤な母体感染リスクを軽減する可能性があるという。なお、今回の研究は、年次総会「ACR Convergence 2023」にて発表された。
TNF阻害薬投与と悪い妊娠転帰における関連性
「アダリムマブ」「インフリキシマブ」などのTNF阻害薬は、他の治療法で症状が改善しなかった炎症性関節炎に対して処方される。これまで、複数の研究によって、妊娠中のTNF阻害薬投与は安全であると証明されている。しかしながら、胎児への影響を懸念して妊娠を機に投薬治療を止める妊婦も少なくない。
そこで今回、フランスの研究チームはフランスの健康保険データベースを用いて、2008年から2017年の間、TNF阻害薬による治療を受けた女性2000人以上(関節リウマチ579人、脊椎関節炎1503人)を対象にTNF阻害薬投与と悪い妊娠転帰における関連性を検証した。
調査対象者のうち1497人は妊娠を機に投薬治療を中止したが、妊娠中のTNF阻害薬投与と悪い妊娠転帰(自然流産(妊娠20週未満の妊娠損失)、中絶、子癇前症、妊娠糖尿病、早産、低出生体重児、重篤な先天異常)に関連性は認められなかった。
また、妊娠中もTNF阻害薬の投与を続けた女性は、妊娠を機に投与を止めた女性と比べて、母体感染リスクが軽減し、産後6週間における重篤な感染症による入院率が低くなったという。
(画像はAMERICAN COLLEGE of RHEUMATOLOGYより)

AMERICAN COLLEGE of RHEUMATOLOGY
https://rheumatology.org/