妊娠期の殺虫剤曝露による影響
4月25日、トレド大学(アメリカ)の研究チームは、プレスリリースにて、出産前の殺虫剤有効成分「ピレスロイド」の曝露により、子供の自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)をはじめ、神経発達症リスクが高まると発表した。
ピレスロイドは微量でも害虫によく効き、速い効力を示すため、広く殺虫剤に使用されている。しかしながら、薬剤である以上、たとえ微量であっても子供や妊婦の健康に影響を及ぼすという。なお、研究論文は「PNAS Nexus」に掲載されている。
ピレスロイドと自閉スペクトラム症における関係性
これまで、複数の研究にて、ピレスロイドと神経発達症における関係性が着目されてきた。
研究チームがマウスを用いた動物モデル実験を行ったところ、妊娠前・妊娠中・妊娠直後に少量のピレスロイド系殺虫剤「デルタメトリン」に晒された母マウスから生まれた子マウスには、多動性と反復行動の増加、発声の減少が認められた。
また、薬剤曝露を受けていない母マウスから生まれた子供と比べて、基本的な学習テストに失敗する可能性が高く、ドーパミンシステムにおいて混乱が生じたという。
これより、研究チームは、出生前のピレスロイド系殺虫剤暴露によって脳に変化が起こり、神経発達症リスクが高まると推測する。
(画像はプレスリリースより)

University of Toledo College
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