非閉塞性無精子症の精子を特定
6月5日、アルバータ大学(カナダ)の研究チームは、プレスリリースにて、生殖細胞特異的タンパク質「AKAP4」「ASPX」により、非閉塞性無精子症における希少な精子を特定できると発表した。
なお、研究論文は「MOLECULAR & CELLULAR PROTEOMICS」に掲載されている。
非閉塞性無精子症における2種類のタンパク質バイオマーカー
無精子症には閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症があり、男性不妊において最も深刻な症状といわれる。
非閉塞性無精子症の場合、精子が通る精管は正常であるが、精巣で精子を生産する能力が低下し、精液中に精子が存在しない状態となる。一方、閉塞性無精子症の場合、精巣で精子が生産できるものの、精管に異常が生じて閉鎖してしまうことによって精子が体外に出せない。
そこで、非閉塞性無精子症では、精巣から精子を採取する手術を行い、凍結保存する手術が必要となる。この手術は精巣を切開して顕微鏡で確認しながら精子を探し出し、受精可能な精子を採取する。
それゆえ、精巣を切開する痛み、精子を探索・採取する時間が伴い、男性の負担は大きい。また、手術を行ったものの、精子が採取できないケースも想定される。
今回の研究では、生殖細胞特異的タンパク質「AKAP4」「ASPX」が閉塞性無精子症におけるバイオマーカーになると示唆された。
これらのタンパク質は、精子の先体と尾部のみに局在するという。それゆえ、2種類のタンパク質バイオマーカーによって精子採取術の成功可能性が予測でき、受精可能な精子を特定できる。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITY OF ALBERTA
https://www.ualberta.ca/MOLECULAR & CELLULAR PROTEOMICS
https://www.mcponline.org/