妊娠中の不安による影響
3月2日、コーネル大学医学部(アメリカ)は、プレリリースにて、妊娠中の不安は母体の免疫システムを変化させると発表した。
不安を抱えている妊婦は、精神的に健康な妊婦と比べて免疫システムが生物学的に異なり、それによって妊娠に悪影響を及ぼす可能性があるという。
妊娠中および産後における免疫変化とメンタルヘルスの関係性
妊娠中に不安を感じる女性は少なくない。しかしながら、メンタルヘルスは妊娠に影響を及ぼし、妊娠中の不安は早産や低出産体重のリスクを高めるといわれる。
今回、研究チームはコーネル大学医学部、ジョンズ・ホプキンズ大学医学部、コロンビア大学アーヴィングメディカルセンター(共にアメリカ)の協力のもと、妊婦107人(不安あり56人、不安なし51人)を対象に、妊娠中期・後期および産後6週間における免疫変化とメンタルヘルスの関係性を検証した。
血液検査に基づいて免疫活性を測定し、妊娠中および産後の不安を評価したところ、不安を抱えている妊婦は、精神的に健康な妊婦と比べて、妊娠中から産後において血液を循環する免疫マーカーの活性が異なり、免疫システムに変化が生じた。
妊娠中、免疫細胞である細胞障害性T細胞(CTL:体内のウイルス感染細胞などの異常細胞を攻撃して破壊する細胞)レベルが高くなり、出産を経て低下することが認められた。一方、精神的に健康な妊婦は、細胞障害性T細胞レベルは妊娠中であっても低く、産後も低い状態であったという。
免疫システムの変化により、母体の免疫系が胎児を異物として拒絶することはないものの、外来の病原体を排除するには十分であり、妊娠に悪影響を及ぼす可能性は考えられる。
(画像はプレスリリースより)
Weill Cornell Medicine
https://news.weill.cornell.edu/