精子の遊泳に影響するもの
11月15日、ニューヨーク大学(アメリカ)は、プレスリリースを通じて、精子の遺伝子突然変異が精子の行動に直接的な影響を及ぼすと発表した。
これまで、精子の遊泳は、個々の精子がもつ遺伝子ではなく、男性の遺伝子による影響を受けると考えられてきた。しかしながら、今回、精子の行動は、男性の遺伝子ではなく、精子を構成するDNAに起因することが認められた。
なお、研究論文は「Scientific Reports」に掲載されている。
正常な精子細胞と異常な精子細胞における精子競争
研究者らは、洞窟魚のメキシカンテトラ(洞穴に生息する盲目の淡水魚)を用いて、精子の遊泳に焦点を置いた実験を行った。
正常な造精機能をもつ魚の精子細胞と、実験的造精機能障害である魚の精子細胞を比較したところ、鞭毛(卵子に向かって遊泳する際に推進力となる細い毛のような運動器官)の長さにおいて相違はなかったものの、行動的および形態学的特徴に違いが確認された。
一見すると同じ精子細胞に見えるが、異常な精子細胞の大部分は、正常な精子細胞と比べて低速あるいは高速で泳いだという。精子競争(卵子との受精をめぐる複数の精子による競争)における精子の可能性を潜在的に変化させ、精子の行動には遺伝子突然変異が直接的に関与していることが立証された。
今後、更なる研究を進めることにより、異常精子が先天性欠損症をはじめ、子世代や孫世代に与える影響が明らかになると期待される。
(画像はプレスリリースより)

NYU
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