肥満女性と胚の正倍数率における関係性
10月10日、コネチカット大学ヘルスセンター(アメリカ)の研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、肥満女性の場合、着床前診断を実施する体外受精において高グレードの胞胚形成率は低くなったが、胚の正倍数率はBMIによる差異はないと発表した。
BMIが体外受精サイクルの正倍数率に対して与える影響
研究チームは、2013年9月から2020年9月の期間、次世代シーケンシング(NGS)による着床前診断(PGT)ありの体外受精を受ける女性1335人(標準648人、過剰体重377人、肥満310人、45歳未満、体外受精サイクル1335回)を対象に、BMIが体外受精サイクルの正倍数率に対して与える影響を検証した。
まず、胚の正倍数率を比較したところ、BMIによる有意差は認められなかった。
次に、血中エストラジオール(E2)のピーク値、採卵数、卵子の成熟率、高グレードの胞胚形成率、臨床的損失率(CLR)と臨床妊妊娠率(CPR)、妊娠継続率(OPR)と出生率(LBR)を比較した。
肥満女性は標準女性と比べて顕著な老化が認められ、ベースラインFSH(卵胞刺激ホルモン)、E2ピーク値、高グレードの胞胚形成率、胚の生検数が低くなった。
なお、胚の正倍数率、採卵数を年齢別に分けたところ、臨床的損失率、臨床妊妊娠率、妊娠継続率、出生率においてBMIによる差異はなかったという。
肥満女性の場合、高グレードの胞胚形成率は低くなったものの、胚の正倍数率とBMIには関連性はないと考えられる。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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