妊娠高血圧症候群の治療
10月3日、オハイオ州立大学は、「Hypertension」にて、分娩開始(陣痛が10~15分間隔に起こった時点)に高血圧治療薬「ニフェジピン」を服用することにより、妊娠高血圧症候群(子癇前症)の症状が改善すると発表した。
「ニフェジピン」には妊娠高血圧症候群の症状を改善し、それに伴う合併症を防ぐ効果があるという。
妊娠高血圧症候群の危険性
妊娠高血圧症候群では、妊娠20週以降に高血圧のみが発症する。代表的な症状としては、頭痛、視力の低下、顔や体のほてりが挙げられる。
症状が深刻化すると収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧110mmHg以上となり、高血圧に加えて尿蛋白も認められる。また、心発作、肝臓や腎臓の機能障害、早産や胎盤剥離のリスクが増す。
しかしながら、これまで妊娠高血圧症候群の治療は確立されていない。分娩のみが唯一の治療法となり、多くは産後数日で症状は解消する。ただし、なかには、産後6ヶ月が経過しても高血圧が続くケースもあるという。
高血圧治療薬による妊娠高血圧症候群の改善効果
研究チームは2020年6月から2022年4月の期間、妊婦365人(妊娠22~41週)を対象に高血圧治療薬による妊娠高血圧症候群の改善効果を検証した。
深刻な妊娠高血圧症候群の女性が分娩前に高血圧治療薬「ニフェジピンCR錠30mg(1日1錠)」(1日1錠)を服用したところ、服用していない女性群と比べて、深刻な妊娠高血圧が改善されることが確認できた。分娩中の血圧は改善し、高血圧を下げるために血圧降下剤を点滴するなどの緊急措置が不要になったという。
(画像はHypertensionより)

American Heart Association
https://newsroom.heart.org/Hypertension
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