母親の腸内細菌がもたらす影響
6月28日、Quadram Instituteは、同研究所のプレスリリースを通じて、母体細菌叢が胎盤の発達、胎児の健康的な成長発達を促すと発表した。
妊娠中の母親が良好な腸内環境であると胎盤は発達し、胎児は健康的に成長発達できるという。
母親の腸内細菌と胎児の成長発達における関係性
同研究所は、ケンブリッジ大学やイースト・アングリア大学(共にイギリス)と共にマウスを用いた動物モデル実験を行い、無菌マウス(腸内細菌が存在しないマウス)と通常マウス(腸内細菌が存在するマウス)を比較し、妊娠中の母親の腸内細菌がもたらす影響を検証した。
これまで、特定のプロバイオティクスが胎児の成長発達を補助すると報告されていた。
今回、腸内細菌には妊娠合併症を予防し、健康的に妊娠を継続させる効果が確認された。妊娠に伴い、母親の腸内細菌は変化し、胎盤の構成や栄養素輸送に影響を与えることが判明した。胎盤の構成や栄養素輸送は、胎児の成長発達に大きな影響力をもつ。
とりわけ、腸内細菌「ビフィドバクテリウム ブレーベ」はプロバイオティクス(人体に良い影響を与える微生物・善玉菌)として知られているが、胎児の成長および代謝を調節する働きをもつという。
無菌マウスと通常マウスを比較した場合、無菌マウスでは胎児に対して十分な糖が供給されず、適切な成長発達が妨げられた。そこで、無菌マウスに腸内細菌「ビフィドバクテリウム ブレーベ」を与えるところ、胎児の代謝が回復して成長発達は通常レベルまでに改善したという。
今回の動物モデル実験を通じて、研究チームは、母体、胎盤、胎児におけるコミュニケーションにおいて腸内細菌が重要な役割を担っていることが新たに解明されたと結論付けている。
(画像はプレスリリースより)

Quadram Institute
https://quadram.ac.uk/