前例のない技術
8月5日、オレゴン健康科学大学(アメリカ)の研究チームは、同大学プレスリリースを通じて、「Open Philanthropy」より助成金を受け、皮膚細胞から卵子を作製する技術研究を促進させると発表した。
なお、この前例のない技術の有効性は、マウスを用いた動物モデル実験において証明されている。皮膚細胞から作製した卵子と精子を受精させたところ、生存能力のある受精卵・胚へと成長することが認められた。
妊娠が困難な場合でも子供を授かる可能性を高める
今回の研究では、ドナー提供を受けたヒト初期胚、精子を用いて、1996年7月にスコットランドで誕生したクローン羊「ドリー」として知られる体細胞核移植の技術にて行う。
マウスを用いた動物モデル実験を通じて、皮膚細胞からの卵子作製における有効性は認められたものの、一方で倫理的および科学的妥当性が課題として残る。なお、研究チームは、課題の背後にある科学は複雑であるが、研究の方向性は正しいとの考えである。
男女共に加齢に伴い生殖機能・能力は低下し、年齢による生殖への影響は避けられない問題である。
それゆえ、この新たな技術の有効性が証明された場合、子供を望む家族に莫大な利益をもたらすだろう。加齢による卵子の老化、癌などの疾患による妊娠可能性の低下、不妊において潜在的なアプローチとして考えられる。
とりわけ、不妊カップルや同性カップルにとって将来性があり、妊娠が困難な場合でも子供を授かる可能性が高まると期待される。
(画像はプレスリリースより)

OHSU
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