妊娠期における運動の重要性
4月14日、東北大学の研究チームは、同大学プレリリース(英語版)を通じて、妊娠中の運動により、子供の代謝健康が改善され、将来の2型糖尿病リスクが軽減すると発表した。
今回、妊娠中の母親が肥満である場合、あるいは、高脂肪食(脂肪分が多くて高エネルギーな食事)を摂っている場合でも、妊娠中の運動によって胎盤の細胞からタンパク質「スーパーオキシドジスムターゼ3(SOD3)」が分泌され、子供の代謝健康を改善することが認められた。
なお、研究論文は、「Journal Diabetes」(3月15日)に掲載されている。
母から子への肥満連鎖を断ち切るメカニズム
母親の肥満は子供へ遺伝し、子供の糖尿病リスクを増加させるといわれる。そして、肥満は親世代から子世代へと世代を超えて連鎖していく。この世代間連鎖より、子は生まれつき重大な健康問題を抱えることになる。
これまで、同大学の研究チームは、妊娠中の運動によって胎盤の細胞からSOD3タンパク質が分泌し、妊娠期の運動が母から子へ伝達されると報告していた。
今回の研究ではマウスを用いた動物モデル実験を行い、SOD3タンパク質が母から子への肥満連鎖を断ち切るメカニズムを検証した。
妊娠マウスに高脂肪食を与えた場合、活性酸素種(ROS:反応性の高い酸素種)の上昇および酸化ストレスの上昇が引き起こり、胎児の肝臓における糖代謝に悪影響を及ぼしたという。
一方、妊娠中に運動をしたマウスでは、胎盤からSOD3タンパク質が分泌され、高脂肪食が胎児の肝臓の糖代謝に対して与える悪影響を防いだ。つまり、SOD3タンパク質に高脂肪食で誘発される子供の糖代謝異常を防ぐ効果が認められた。
(画像はプレスリリースより)

TOHOKU UNIVERSITY
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