卵巣予備能を低下させる要因
5月10日、ENDOCRINE SOCIETYは、プレスリリースを通じて女性の生殖問題とストレスに関する研究を取り上げ、慢性的なストレスによって卵巣予備能が低下すると報告した。
なお、研究論文は「Endocrinology」に掲載されている。
ストレスが女性の生殖能力に及ぼす影響
卵巣予備能とは、卵子の成熟、女性ホルモンの生産を担う卵巣機能の予備能力である。2つの卵巣内にある卵子の数および質に基づいて評価される。それゆえ、卵巣予備能の低下とは、卵巣内にある卵子数が少ないこと、卵子の質が低いことを意味する。
また、卵子数は、人間は生まれながらにして卵子数が決まっており、出生時より増えることはない。年齢に伴って卵子数は減少し、残存する卵子の質は著しく低下するため、女性の生殖能力は衰えていく。
今回、中国の研究チームは、ラットを用いた動物モデル実験が行い、ストレスが女性の生殖能力に及ぼす影響を検証した。雌ラットに対して3週間ストレスを与え続けた(叫び声を聞かせ続けた)ところ、エストロゲン(卵胞ホルモン)および抗ミュラー管ホルモン(AMH)の減少、卵子数・質の低下が認められた。
エストロゲンは、卵子の成長や排卵において重要な役割を担う。一方、抗ミュラー管ホルモンは卵巣から分泌され、卵巣予備能の指標とされる。ストレスを受けてエストロゲンおよび抗ミュラー管ホルモンが減少し、その結果、卵巣内の卵子数・質が低下したという。
これにより、研究チームは、慢性的なストレスによって卵巣機能能が低下すると結論付ける。
(画像はENDOCRINE SOCIETYより)

ENDOCRINE SOCIETY
https://www.endocrine.org/