肥満男性の減量が生殖能力に与える影響
5月23日、コペンハーゲン大学(デンマーク)の研究チームは、同大学プレスリリースを通じて、肥満男性では減量によって精液の質が向上し、減量してそのままの体重を維持すると精子数が2倍まで増加すると発表した。
なお、研究論文は「Human Reproduction」に掲載されている。
精子数と妊娠確率における相関関係
近年、世界規模として精子数の減少や精子の質の悪化が指摘されており、男性の生殖能力は低下しているといわれる。
一方、精子数と妊娠可能性には相関関係が成立し、精子数の増加に伴い、妊娠可能性は高まり、妊娠までの期間は短くなる。つまり、精子数を増やすことによって妊娠確率が増すという。
精子の質と減量の関係性
肥満は精子数を減少させ、先行研究では、減量と精液の質には関連性が認められている。今回、研究チームは、肥満男性56人(18~65歳、BMI値32~43)を対象に、精子の質と減量の関係性を検証した。
被験者は、8週間の食事療法(低カロリー食)、その後、4グループに分けて運動療法と肥満治療薬の投与を行い、最長52週掛けて平均16.5kg減量した。
その後8週間、減量した体重を維持したところ、精液の質が改善した。精子濃度は50%まで、精子数では40%まで増加したという。
さらに、減量後一年間そのままの体重を維持した男性では、減量前と比べて精子細胞が2倍増加した。一方、減量後リバウンドした男性は、減量によって精液の質は向上したものの、リバウンドによって再び精液の質は低下した。
なお、運動療法グループでは、1週間あたり中等度レベル最低150分、高強度レベル最低75分、中等度レベルと高強度レベルの組み合わせにて減量に取り組んだ。肥満治療薬グループでは、さらに運動プログラムなし治療薬のみ投与、運動プログラムあり治療薬投与と二分化した。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITY OF COPENHAGEN
https://healthsciences.ku.dk/