早産リスクのバイオマーカー
3月1日、ワシントン州立大学(アメリカ)の研究チームは、同大学プレスリリースを通じて、母親の口腔細胞から早産リスクが予測でき、また、早産傾向は母から子へ遺伝すると発表した。
なお、研究論文は「Scientific Reports」(3月1日)に掲載されている。
口腔細胞のエピジェネティックな修飾と早産リスク
研究チームは、早産児とその両親19組、正期産児とその両親21組を対象に、口腔粘膜検体採取(頬内側の粘膜から綿棒などを用いて検体を採取する方法)にて口腔細胞を採取し、細胞検査を実施した。
口腔細胞におけるエピジェネティック(後成的)な修飾は、早産児の母親において顕著に検知され、100以上の後成的なバイオマーカーがあることが実証された。これらは正期産の母親とは異なり、早産リスクのバイオマーカーになるという。
一方、早産児の父親にも認められたが、バイオマーカーが少なく、早産リスクを予測するには不十分であった。また、早産で生まれた女児は、早産リスクを予測するに十分なバイオマーカーを100以上保有することが認められた。これにより、早産の傾向は母から子へ遺伝すると推測される。
エピジェネティクスとは、DNAの分子的なプロセスであり、遺伝子の発現を制御する。DNAシーケンスではなく、有毒物質の曝露、不健康な食生活、飲酒などエピジェネティックな修飾が引き継がれるという。
(画像はプレスリリースより)

WASHINGTON STATE UNIVERSITY
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