妊娠期における喫煙の影響
2月23日、オランダの研究チームは、「Human Reproduction」にて、妊娠期の喫煙は、妊娠初期の胚の形態学的発達、妊娠中期の胎児の発育状態に悪影響を及ぼすと発表した。
これまで、妊娠期の喫煙は、早産、在胎不当過小児(SGA)などをはじめ、胎児の成長・発達を妨げることは認められていた。今回、妊娠中の母親が喫煙することにより、胎児の成長・発達は遅れ、改めて妊娠中の喫煙の危険性が周知された。
妊娠中の喫煙が胎児成長に及ぼす影響
研究チームは、2010年から2018年の期間、妊娠中の女性689人を対象に、妊娠期の喫煙が胎児の成長に及ぼす影響を検証した。
まず、妊娠7週目から10週目に掛けて、経膣3次元(3D)超音波スキャンを実施し、「カーネギー発生段階(標準化された脊椎動物胚の発生段階の指標)」に基づき、胚の形態形成段階を評価したところ、喫煙者の妊婦では、非喫煙者と比べて、胚の形態形成に0.9日の遅れが認められた。
妊娠初期の喫煙は、重大な成長遅延ではないものの、僅かな遅れを生じさせた。特に、体外受精・顕微授精による妊娠では、自然妊娠より、妊娠中の喫煙(1日あたり喫煙本数)と胚の形態形成段階おいて顕著な関連性が確認された。
1日あたりの喫煙本数が10本以上かつ体外受精・顕微授精による妊娠の場合、胚の形態形成段階には1.6日の遅れが発生したという。
また、妊娠20週以降は、超音波検査(エコー検査)にて胎児を測定し、妊娠数週と推定胎児体重から胎児の発育状態を評価した。妊娠中期の喫煙は、胎児の発育状態に大きく影響を及ぼし、胎児の大腿骨は短くなり、頭囲が大きくなった。低出産体重リスクは高まり、改めて妊娠中の喫煙が危険であることが認められた。
(画像はHuman Reproductionより)

Human Reproduction
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