凍結融解肺移植の成功を高める条件
2月5日、アメリカの研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、凍結融解肺移植において、胚盤胞の質および母体年齢が重要になると発表した。
胚盤胞の質および母体年齢は、臨床妊娠率と出生率に大きな影響を与えるという。
胚の形態と臨床妊娠率、出生率、分娩数週、出生体重における関係性
研究チームは、2016年から2020年の期間、自然周期凍結融解肺移植を行った患者(卵子提供なし、正倍数性の胚盤胞610個)を対象に、後向きコホート研究(レトロスペクティブスタディ:疾病の要因と発症の関連を調べるための観察的研究の手法)を実施した。
形態学的評価によるグレード(AA、AB、BA、BB、C)に基づいて胚盤胞は5グループ、あわせて、妊娠年齢から3グループ(35歳未満、35~39歳、40歳以上)に分類して、胚盤胞(正倍数性)の形態と妊婦および新生児の罹患率・死亡率における関係性、母親の妊娠年齢が凍結融解肺移植の結果に与える影響を検証した。
なお、形態学的評価によるグレードでは、AAが最も質の高い胚盤胞とされる。栄養外胚葉(TE:胎盤になる部分)と内部細胞塊(ICM:胎児になる部分)の質を3つのグレード(A:密で細胞数が多い、B:疎で細胞数が少ない、C:細胞数が非常に少ない)にて評価する。
今回、胚盤胞のグレードが低いほど、臨床妊娠と出生率は低くなることが認められた。特に、内部細胞塊がCグレードの場合、Aグレードと比べて妊娠可能性および出生率が大幅に低下した。一方、栄養外胚葉のグレードは、妊娠率と出生率に対して影響を与えなかったという。
また、正倍数性かつAグレードの胚盤胞であっても、母体年齢の上昇に伴い、成功率は下がると報告された。しかしながら、肺移植の質および母体年齢と分娩数週、出生体重との関連性は確認されなかった。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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