新たな男性不妊の治療法
2月13日、モナッシュ大学(オーストラリア)の研究チームは、同大学のプレスリリースを通じて、高周波超音波を用いた音響療法によって精子運動率が改善すると発表した。
音響療法では、単一細胞レベルにて、精子運動率(遊泳能力)の改善が認められた。今回の発見により、不妊に伴う精神的および身体的負担、生殖補助医療の頻度が軽減し、生殖能力および自然妊娠の可能性が高まると期待される。
なお、研究論文は、「Advanced Science」に掲載されている。
精子に対する高周波音響の効果
現在、世界保健機関(WHO)によると、世界において、4800万組の夫婦やカップル、1億8600万人の個人が不妊であるという。そのうち、精子運動率の低下に起因する不妊は約30%を占める。
女性の体内に入った精子は、しなやかな尾を鞭のように動かしながら前進し、子宮を通過して卵管へ侵入する。それゆえ、精子の運動率が低いと前進する力は弱まり、卵子まで到達できず、精子と卵子の受精可能性は低下する。
今回、運動性のある精子に対して、高周波音響(人間の耳には聞こえない高い周波数を豊富に含む音響)を20秒間流したところ、精子のエネルギー代謝率が高まり、その結果、遊泳速度が最大30%増加し、湾曲した卵管内における遊泳能力が向上した。また、精子DNA完全性への悪影響は認められなかった。
精子の運動は、尾にある鞭毛によって起こる。また、精子運動率、精子鞭毛運動に関わるエネルギー代謝には関連性がある。研究チームは、それゆえ、精子のエネルギー代謝が高まると、精子運動率が向上すると説明する。
(画像はプレスリリースより)

MONASH UNIVERSITY
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