妊娠特有の症状を改善する効果
12月2日、カリフォルニア大学デービス校(アメリカ)の研究チームは、同大学プレスリリースを通じて、プロバイオティクスによって、吐き気や嘔吐、便秘といった妊娠特有の症状が大幅に改善されると発表した。
今回、初めて、プロバイオティクスと妊娠特有の症状における関係性が認められた。なお、妊娠特有の症状に関する研究は世界初となり、研究論文は「Nutrients」に掲載されている。
多くの妊婦を苦しめる症状
妊娠中、母体のエストロゲンとプロゲステロンの分泌量は増加する。そして、このホルモンバランスの変化に伴い、腸内細菌も変化するといわれる。
吐き気や嘔吐、便秘といった妊娠特有の症状は、このホルモンバランスの変化、腸内細菌の変化によって生じると指摘されるが、これまで、原因の解明には至っていない。なかには、入院レベルまで重症化する妊婦もいるものの、治療法もなく、症状のコントロールは難しい。
プロバイオティクスと妊娠特有の症状における関係性
プロバイオティクスとは、人体に良い影響を与える微生物(善玉菌)、それらを含む製品や食品と定義される。ヨーグルト、キムチ、ケフィア、ザワークラウト、テンペなどの食品およびサプリメントから摂取でき、ヒトの腸内微生物の構成やバランスを改善する働きをもつ。
今回、研究チームは、妊娠中の女性32人を対象に、一定期間プロバイオティクスサプリメントを摂取してもらい、プロバイオティクスと妊娠特有の症状における関係性を検証した。
被験者は1日2回、6日間ラクトバチルス(乳酸菌)サプリメントを摂取して2日間休薬するサイクルを16日間続けた。その後、17日間、体調を観察したところ、プロバイオティクスに妊娠特有の症状を軽減する効果があることが認められた。
特に、悪阻(吐き気と嘔吐)の症状は大幅に軽減し、吐き気の継続時間は16%、嘔吐の継続時間では32%減少した。あわせて、疲労感、食欲不振などの体調不良も改善したという。
研究チームは、今回の研究を通じて、プロバイオティクスと妊娠特有の症状における関係性が認められ、悪阻や便秘などの妊娠に伴う体調不良を改善する糸口になると考える。
(画像はプレスリリースより)

UC DAVIS HEALTH
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