卵巣刺激とレトロゾール
11月18日、コペンハーゲン大学病院などデンマークの研究チームは、「Human Reproduction」にて、排卵期におけるプロゲステロンの早発上昇値が1.5 ng/mL以下である場合、レトロゾールとゴナドトロピンの併用による卵巣刺激法によってホルモン値の改善が認められると発表した。
ただし、妊娠継続率を改善する効果は報告されていない。
レトロゾールとゴナドトロピンの併用による卵巣刺激効果
体外受精の卵巣刺激では、性ステロイドホルモンを投与して女性ホルモンの分泌を低下させ、複数の卵胞の成長を促す。アロマターゼ阻害薬であるレトロゾールは、血清エストラジオールを正常化させるため、卵巣刺激に伴う副作用を改善するといわれる。
今回、研究チームは、2016年8月から2018年11月の期間、デンマークにある大学病院4機関にて不妊治療を受ける女性を対象に、レトロゾールとゴナドトロピンの併用による卵巣刺激効果を検証した。
抗ミュラー管ホルモン検査(AMH検査)によると、女性129人の血中AMH値は正常範囲(8~32 nmol/l)であった。被験者は2グループに分けられ、レトロゾールとゴナドトロピンを併用した卵巣刺激法、ゴナドトロピンのみの卵巣刺激法を受けた。1日あたりの投与量は各5mgであった。
卵巣刺激開始時と黄体期中期に採血を行い、プロゲステロン、エストラジオール、FSH(卵巣刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、アンドロゲンを測定したところ、排卵期におけるプロゲステロンの早発上昇値が1.5 ng/mL以上である場合、被験薬(レトロゾール)とプラセボにおいて差異は確認されなかった。
一方、排卵期におけるプロゲステロンの早発上昇値が1.5 ng/mL以下である場合、レトロゾールとゴナドトロピンの併用によって黄体期中期のプロゲステロン値が大きく上昇した。併用による改善は認められたが、妊娠継続率は大差なかったという。
(画像はHuman Reproductionより)

Human Reproduction
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