子宮内膜症の診断ありきの不妊治療
10月6日、クイーンズランド大学(オーストラリア)の研究チームは、同大学プレスリリースを通じて、子宮内膜症であるにも関わらず、不妊治療の開始後に初めて診断が下った場合、不妊治療サイクル数は増えるうえに体外受精以外での妊娠は難しいと発表した。
なお、研究論文は、「Human Reproduction」に掲載されている。
子宮内膜症の診断タイミングによる影響
不妊治療の開始段階で、子宮内膜症の診断を受けていない、あるいは診断が確定していない状態であると、妊娠するには体外受精に頼らざるを得ないという。不妊治療サイクル数は増し、推奨されていない治療を行うことになるものの、妊娠可能性は低くなることが認められた。
一方、子宮内膜症の診断ありきで不妊治療を開始した場合、子宮内膜症を起因としない不妊女性と同じような治療結果が得られた報告された。
子宮内膜症の診断と不妊治療における関係性
子宮内膜症は、女性不妊の一因とされる。例えば、オーストラリアでは、女性9人中1人が子宮内膜症の診断を受け、そのうち40%は女性不妊であるといわれる。
しかしながら、現状、オーストラリアでは、子宮内膜症の診断が下るまでに4年から11年掛かるという。研究チームは、この診断が確定するまでの期間により、不妊治療の成功可能性が低下していると指摘する。
今回、女性1322人(子宮内膜症35%を含む)を対象に子宮内膜症の診断と不妊治療における関係性を検証したところ、不妊治療サイクル数は約4倍に増加し、最大サイクル数は36回と報告された。また、約33%は出産に至らなかったという。
なお、被験者の三分の一は子宮内膜症でありながらも未診断であり、不妊治療の開始後に判明した。
研究チームは、不妊治療の開始前に子宮内膜症の診断を受けることによって、症状に応じて治療を調整できるメリットがあると結論付ける。
(画像はプレスリリースより)

The University of Queensland
https://www.uq.edu.au/