母親の多嚢胞性卵巣症候群と無排卵性不妊が子供に与える影響
5月28日、カロリンスカ研究所(スウェーデン)、オウル大学(フィンランド)の研究チームは、「Human Reproduction」にて、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)あるいは無排卵性不妊の母親が女児を出産した場合、母親の健康状態が子供の心疾患代謝に変化・異常をもたらすと発表した。
今回、母親のPCOSあるいは無排卵性不妊により、子供(女児)は、幼児期から肥満リスク、思春期後半から糖尿病リスクが増すことが認められた。
母親のPCOSあるいは無排卵性不妊、子供の肥満および糖尿病リスクにおける関係性
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は内分泌障害であり、肥満や糖尿病などの代謝異常を併発するケースが多い。先行研究では、母親がPCOSである場合、その子供には、僅かではあるが、心血管代謝の変化・異常が現れると報告されている。
研究チームは、フィンランドの出生コホート研究(1996~2014年)を用いて、母親のPCOSあるいは無排卵性不妊、子供の肥満および糖尿病リスクにおける関係性を検証した。調査対象者にはPCOSの診断を受けた女性も含まれ、親子に対する追跡調査は、母親の妊娠時から2018年12月31日まで継続された。
調査を通じて、母親のPCOSあるいは無排卵性不妊による曝露、子供の肥満において関連性が認められ、PCOSや無排卵性不妊に晒された子供では、肥満の累積発生率が増加した。特に、PCOSあるいは無排卵性不妊の曝露による影響は、男児より女児のほうが受けやすかった。
さらに、妊娠前の母親が肥満かつPCOSあるいは無排卵性不妊の診断を受けた場合、PCOSあるいは無排卵性不妊の診断を受けた母親と比べ、誕生した子供の肥満リスクは高くなった。
研究チームは、母親のPCOSあるいは無排卵性不妊は、子供の代謝状態に悪影響を及ぼし、幼少期から肥満リスクが増加すると結論付けている。
(画像はHuman Reproductionより)

Human Reproduction
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