早産リスクを低下させる栄養素
5月17日、カンザス大学医療センターなどアメリカの研究チームは、「EClinical Medicine」にて、妊娠中にドコサヘキサエン酸(DHA)をサプリメントにて補完することにより、早産リスクを軽減できると発表した。
今回、妊娠後期の母親が妊婦用DHAサプリメント1000mgを服用した場合、200mgと比べて大幅に早産リスクが低下したことが認められた。
妊娠中のDHA摂取の重要性
DHAはオメガ3脂肪酸の一種であり、カタクチイワシや鮭など魚の脂身に含まれる。心臓の健康状態や視力の改善、炎症反応の軽減に効果があり、特に、胎児および乳幼児の脳発達に欠かせない。
類似した栄養素には、エイコサペンタエン酸(EPA)がある。しかしながら、DHA・EPA共に体内での生成量は極めて少なく、サプリメントにて補完し、適量を保つことが重要である。
これまで、先行研究を通じて、妊娠中のDHAサプリメント摂取により、胎児の神経発達が促され、自閉症スペクトラム症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの神経発達障害リスクが軽減すると報告されている。
DHAは体内での生成量が僅かであるため、妊娠中の女性に対して妊婦用DHAサプリメント200mg、300mgの摂取が推奨されている。
妊娠中のDHA摂取による効果
研究チームは、2016年6月8日から2020年3月13日の期間、アメリカ最大規模の医療センター3ヶ所にて妊婦1110人程度(妊娠12~20週)を対象に、妊娠中のDHAサプリメント摂取と早産リスクにおける関係性を検証した。
被験者にはDHAサプリメント1000mgおよび200mgを摂取してもらい、効果を比較したところ、妊娠中に高用量(1000mg)サプリメントを摂取した女性576人の早産リスクは2%であった。200mgサプリメントを摂取した女性524人(4.1%)と比べ、早産リスクは低くなった。
また、日常的にDHAサプリメントの服用習慣があり、今回の研究スタート時点において体内のDHAレベルが高かった女性は、さらに早産リスクは低く、1.3%となった。
つまり、妊娠中のDHAサプリメント摂取はもちろん、妊娠を望む女性は日常的にDHAサプリメントを摂取しておくことが重要であるといえる。
(画像はEClinical Medicineより)

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