早産や遷延分娩の要因
3月11日、国立衛生研究所(NIH)は、プレリリースを通じて、不均衡なプロゲステロンシグナルが早産、遷延分娩(分娩時間が長引く)の要因に成り得ると発表した。研究論文は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されている。
なお、遷延(せんえん)分娩とは、陣痛開始から一定時間が経過しても(初産婦は30時間以上、経産は15時間以上)、子供が生まれない状態を指す。
妊娠期間におけるプロゲステロン受容体の働き
妊娠中、プロゲステロン(黄体ホルモン)は子宮収縮を抑制するため、早産予防と妊娠継続にはプロゲステロン量の維持が不可欠となる。プロゲステロンによる働きは分子シグナルを通じて起こり、プロゲステロン受容体タイプA(PGR‐A)およびタイプB(PGR‐B)が関与する。
先行研究では、PGR‐Aが分娩開始に関わるプロセスを制御し、PGR‐Bは正常な妊娠経過・妊娠維持に関わる分子に対して影響を与えると報告されていた。
今回、研究チームは、遺伝子操作にて子宮筋層におけるPGR‐AとPGR‐Bの比率を変化させたマウスを用いて、PGR‐AシグナルとPGR‐Bシグナルのバランスが妊娠に与える影響を検証した。
マウスを用いた動物モデル実験により、PGR‐Aは筋収縮を促進させ、PGR‐Bには筋収縮を防ぐ働きがあることが認められた。今後、筋収縮を促進させる分子をコントロールすることによって早産を予防できると考えられ、新たな発見は早産の治療に活かせると期待される。
(画像はプレスリリースより)

NIH
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