超早産児に対するプロバイオティクス投与
3月11日、リンショーピング大学(スウェーデン)の研究チームは、同大学プレリリースを通じて、プロバイオティクスサプリメントには、超早産児(妊娠28週未満に出生)の腸内細菌の多様性を高め、腸内環境の成長を促進する効果があると発表した。
研究論文は、「Cell Reports Medicine」に掲載されている。
超早産児と健康リスク
超早産児は、妊娠28週未満に出生体重1000g未満で誕生することが多い。本来ならば母親の子宮内で十分に成長・発達したうえで出生となるが、在胎期間が短く、身体機能が十分に発達・成長していない状態で産まれる。特に、超早産児の腸内細菌は正期産で産まれた新生児とは異なる。
そのため、超早産児は極めて脆弱であり、新生児集中治療室の保育器内で必要な治療を受けるが、超早産児のうち四分の一は感染症によって死に至るといわれる。重度の腸炎症を起こしやすく、壊死性腸炎に進行して腸が壊死してしまう。
壊死性腸炎に感染した超早産児は、三分の一が死に至る。回復した場合でも、生涯、長期に亘って、短腸症候群(腸管の大量切除によって消化吸収機能が極端に低下した状態)、神経発達障害などの合併症に苦しめられるという。
超早産児の腸内細菌とプロバイオティクスによる効果
これまで、先行研究では、乳酸菌「ラクトバチルス・ロイテリ」は、壊死性腸炎リスクを軽減する効果があると報告されていた。
今回、超早産児132人(妊娠23~28週の出生、出生体重1000g未満)を対象に、プロバイオティクスによる効果を検証した。プロバイオティクスは、健康上の利益が得られると考えられている生きた微生物であり、サプリメントやヨーグルトなど経口、あるいは座薬やクリームなど非経口にて摂取する。
新生児集中治療室での治療期間中、一部の超早産児に対して毎日、プロバイオティクスを含む油滴を与えたところ、産後1週間と産後1ヶ月における腸内細菌の構成に相違が認められ、腸内細菌の多様性が高まり、成長が促進された。
(画像はプレスリリースより)

LI.U
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