男性不妊に対する有益な指標
11月4日、メキシコの研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、受精成功率の予測ならびに不妊治療方針の決定をするうえで、精子の細胞内pHは、有益な指標になる可能性を示唆した。
今回、奇形精子症の場合、精子の細胞内pHによって顕微授精の成功率を予測できると報告された。精子の細胞内pHが高いほど顕微授精の成功率は増すという。
精子の細胞内pHと体外受精・顕微授精の成功率における関連性
精子の細胞内pH(pHi)は、精子の運動性、受精能、受精を含む生理学的なプロセスにおいて重要な役割を担う。これまで、正常精子の場合、精子の細胞内pHと受精成功率に正の相関関係が示されている。
そこで今回、研究チームは、2023年1月から2025年3月の期間、体外受精および顕微授精を受ける不妊男性を対象に精液サンプルを採取し、精子の細胞内pHと体外受精・顕微授精の成功率における関連性について検証した。
なお、被験者には、奇形精子症(精子の形態異常率が高い)あるいは精子無力症(精子運動性が低い)を起因とした不妊男性が含まれる。
2日から5日の禁欲期間後に採取した精液サンプルを測定したところ、奇形精子症の場合、精子の細胞内pHと顕微授精の成功率に関連性が示された。奇形精子症の男性では、精子の細胞内pHの上昇に伴い顕微授精の成功率は高まったという。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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