体外受精と鍼治療の効果
これまで、数多くの先行研究において、鍼治療が体外受精成功率を改善すると報告されてきた。
今回、西シドニー大学NICM健康研究所、アデレード大学など複数の大学や研究機関による共同研究チームは、「JAMA」にて、鍼治療と体外受精の出生率における相関関係はないと発表した。体外受精サイクル中に鍼治療を受けた場合の出生率は、鍼治療を受けなかった場合と比べ、大差なかったと結論付けている。
鍼治療と体外受精の出生率の関係性
研究チームは、2011年6月から2015年10月に掛けて、からオーストラリア・ニュージーランドの16医療機関にて新鮮胚を用いた体外受精を受けている女性848人(18~42歳)を無作為に選び、胚移植の成功率と鍼治療の関係性を検証した。
被験者は2グループに分けられ、卵巣刺激期間中と胚移植当日に鍼治療、あるいは疑似鍼治療(ツボから離れた箇所に鍼を挿入する)を受けた。出生率を比較したところ、鍼治療を受けた女性の出生率は18.3%、疑似鍼治療では17.8%、大差ない結果となった。
研究チームを率いるNICMのキャロライン・スミス(Caroline Smith)教授は、体外受精における鍼治療の効果を否定しているわけでないと強調する。しかしながら、短期的な鍼治療は、体外受精の出生率に与える効果は少ないと説明する。
(画像はPixabayより)

NICM
http://www.nicm.edu.au/JAMA
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