胎児の栄養・カロリー摂取量と胎児脳の発達
Children's National Health Systemは、米国小児科学会総会(PAS)にて、体重1500g未満の早産児において、脳容積の拡大や白質(神経細胞の連絡回路・軸索)形成は、主要栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)の摂取量やカロリー摂取量による影響を大きく受けると発表した。
妊娠最終段階では胎児脳の成長速度が加速し、最も発達する時期である。妊娠満期を迎える前に、胎児脳の容積は拡大し、構造が複雑化するという。
低出産体重の早産児におけるリスク
米国疾病対策予防センター(CDC)は、米国における2016年の出生児は10人1人が早産児(37週以前の出産)であり、出生体重は軽い傾向にあると報告している。早産児のなかでも極低出産体重児(1500g未満)や超低出産体重児(1000g未満)は、成長障害や神経認知機能障害のリスクが顕著に高まる。
また、小さく産まれた早産児は、新生児集中治療室(NICU)にて栄養サポートを受けるが、満期新生児に比べ、脳発達は遅れているという。
主要栄養素・カロリー摂取に関する更なる研究を
研究チームは、32週以前に誕生した新生児69人(体重1500g未満)を対象に、主要栄養素・カロリー摂取量と胎児脳の発達における関係性を検証した。新生児の平均出生体重は970g、平均在胎数週は27.6ヶ月であった。
在胎数週40週にあたる時期にMRI検査を行ったところ、異方性比率(拡散の大きさと異方性の割合を算出・定量化した値)と1日あたりのカロリー摂取量における累積主要栄養素量における関係性は認められなかった。
また、1食あたりのカロリー摂取量における主要栄養素量は、領域的脳容積や灰白質(ニューロン・神経細胞の集合体)に対して影響は与えていなかった。
今回の研究では、胎児脳の発達に影響を与える栄養素の特定には至っていない。今後、胎児脳の発達に影響を与える栄養素の特定、栄養素の摂取量に関する研究が求められる。
(画像はPixabayより)

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