精子の細胞容積調節機能
筑波大学とコーネル大学の共同研究チームは、「The FEBS Journal」にて、精子細胞において、細胞容積調節機能が認められたと発表した。
細胞の構成物質では水分が最も多く、細胞容積は水分量によって決まる。細胞を覆う細胞膜には浸透性の漏洩チャンネルをもち、スポンジのような水分吸収・排出により細胞容積を調整する。細胞の水分量が過剰である場合、細胞膜の破裂、形態の異常を生じさせる。
今回の研究では、精子細胞に細胞容積調節機能である浸透作用が確認でき、細胞容積調節機能があることを立証した。細胞容積調節機能は、精子形成や生殖能力に大きな影響を与える。
精子細胞のタウリンと男性不妊における関係性
先行研究では、システインジオキシゲナーゼ(CDO)を欠いた雄マウスが不妊になると報告している。システインジオキシゲナーゼはアミノ酸タウンリンを生成するタンパク質であり、アミノ酸タウンリンは細胞の浸透性や細胞容積調節において重要な働きをする。
研究チームは動物モデル実験を行い、システインジオキシゲナーゼが欠如した雄マウスにおいて、精子細胞のタウリン量は大幅に減少し、システインジオキシゲナーゼがあるマウスに比べ、不妊発症率は10倍以上に増加し、精子尾部の角度異常は約2倍増であったと報告している。
また、尾部の形成異常であった精子細胞にタウリンを注入したところ、形成異常は改善され、正常な形態になったという。
精子細胞のタウリン吸収過程
今後、精子細胞がタウリンを吸収する過程に着目した研究が求められる。
精子細胞は生殖器を通過する際にタウリンを吸収し、システインジオキシゲナーゼより生成するタウリン量は多くない。つまり、システインジオキシゲナーゼとタウリンの欠如は、男性不妊を引き起こすといえる。
(画像はPixabayより)

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