抗ヒスタミン薬と男性不妊
生物学実験医学研究所(アルゼンチン・ブエノスアイレス)の研究チームは、「Reproduction」にて、花粉症の抗ヒスタミン薬を常習的に服用した場合、男性の生殖能力が低下し、男性不妊の要因に成り得ると発表した。
これまで、抗ヒスタミンが精巣の恒常性に作用し、アンドロゲン(男性ホルモン)の分泌量を変化させることは判明していた。同研究所のカロリーナ・モンディロ(Carolina Mondillo)氏は、男性に対する臨床試験には限界があるが、動物モデル実験より抗ヒスタミンの副作用が立証されたと説明する。
抗ヒスタミン薬の健康影響
研究チームは、動物モデル実験と臨床試験を行い、抗ヒスタミンがライディッヒ細胞(精巣の精細管周辺にある細胞)と精巣機能に与える否定的影響を評価した。
抗ヒスタミン薬「シメチジン」(1日1200グラム)を毎日服用した場合、テストステロン量の低下、精子数の減少が認められた。一方、精子運動率や精子形態に対する影響は小さいと報告されている。また、ヒスタミンは作動性効果もあり、男性生殖器への性的刺激を抑制するという。
研究チームは、細胞外小胞(細胞から分泌される小胞)により、ヒスタミン受容体が精巣細胞に移送されると推測する。細胞外小胞は受容細胞に膜タンパク質を運ぶ働きをもつ。
モンディロ氏は、男性生殖器に対する作動性効果に加えて、抗ヒスタミンが、精子形成やステロイド生成など男性の生殖機能に対して顕著に否定的影響を与えると結論付けている。また、今後、更なる研究の必要性があると述べている。
(画像はPixabayより)

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