男性不妊や健康状態の指標
3月17日から20日に掛けて、アメリカ・シカゴにてENDO2018第100回米国内分泌学会議が開催された。
会議では、精子数と男性の健康状態における関係性に関する研究論文が発表された。精子数は、精液の質など男性生殖機能に加えて、代謝症候群(メタボリック症候群)、心臓血管・循環器疾患、骨粗しょう症(骨密度の低下)の指標になることが認められた。
ブレシア大学アルベルト・フェーリン(Alberto Ferlin)准教授は、男性不妊検査が男性生殖機能を評価するだけでなく、死亡につながる疾患や危険因子の発見につながると説明する。
精子数と健康状態の関係性
研究チームは、イタリアにて、不妊に悩むカップルの男性5177人を対象に、精子数と男性の健康状態における関係性を調査した。
精液中の精子数が3900万個未満である場合、欠精子症と定義される。被験者の約50%は精子数が少なく、精子数が標準値である男性と比べ、性腺機能低下症(生殖器の機能不全)が12倍増であった。うち半数は、テストステロン(男性ホルモン)量が少なく、骨粗しょう症や骨密度の低下が確認された。
また、精子数が減少している場合、インスリン抵抗性検査の数値が高く、メタボリック症候群、糖尿病の危険因子が大きく増加していたと報告されている。
精子数が標準値である男性と比べ、体脂肪(腰回り、BMI値)、血圧、悪玉コレステロール(LDL)、中性脂肪(トリアシルグリセロール)は1.2倍増となった。一方、善玉コレステロール(HDL)は減少していた。
フェーリン准教授は、精子数による男性不妊と健康状態における関係性が立証されたと述べ、男性不妊の治療には健康状態の改善、疾患の治療が必要不可欠であると強調する。
(画像はPixabayより)

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