化学物質が体内ホルモンに与える影響
3月17日から20日に掛けて、アメリカ・シカゴにてENDO2018第100回米国内分泌学会議が開催された。19日の会議では、内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)が体内ホルモンに与える影響に関する研究が発表された。
論文主著者のイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校獣医学部ラドワ・バラカート(Radwa Barakat)氏は、妊娠期の母親が消費生活用製品に使用される内分泌撹乱化学物質にさらされた場合、化学物質の影響は母から子(息子)へ、子(息子)から子へ、世代を超えて生殖機能に悪影響を与え、精子数や精子の質を著しく低下させると報告している。
母から子への影響
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、内分泌撹乱化学物質「フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)」が与える影響を考察した。フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)は、消費生活用製品、化粧品、プラスティック製玩具、医療機器など幅広く使用されている。
妊娠成立から出産に至るまで11日間、母マウスをフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)に曝露したところ、生まれた子マウス(雄)は血中のテストステロン量、精液中の精子数が激減していることが認められた。
子から子への影響
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)にさらされた母マウスから生まれた子マウス(雄)は、生殖適齢期において男性の生殖機能が欠如し、雄にも関わらず、妊娠・出産をした。
雄マウスから生まれた雄マウスは、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)の影響が引き継がれ、男性ホルモン量、精子濃度、精子運動率など男性生殖機能に異常が認められた。
バラカート氏は、化学物質が生体に与える影響について再考する必要性を強調する。
(画像はPixabayより)

ENDOCRINE SOCIETY
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