肥満と生殖能力の減退
上海交通大学医学院の研究チームは、「Frontiers in Physiology」にて、肥満により精液の炎症度が高まり、精子の質が低下すると発表した。炎症度とBMI値は相関関係にあるという。
これまで、肥満は特異的タンパク質を生成・分泌させ、身体組織に慢性炎症を引き起こすと立証されていた。今回、肥満による生殖能力の低下、男性生殖器の慢性炎症が認められた。
マウスを用いた動物モデル実験
研究に先立ち、研究チームは標準体重と肥満のマウスを用いた動物モデル実験を行った。雄マウスの生殖管の炎症度を比較したところ、肥満状態の雄マウスは男性器の構造が変化し、テストステロン(男性ホルモンの一種)を含む性ホルモンの分泌が減少し、精巣内に炎症性タンパク質が増加した。
炎症性タンパク質は、精液の機能を劣化させ、精巣内にある細胞に影響を与えて精液の生成を妨げるといわれる。
肥満と精子の質、炎症度の関係性
研究チームが、男性272人(普通82人、軽度肥満150人、肥満40人)を対象に精液を採取したところ、被験者のBMI値に比例して炎症性タンパク質の増加が確認できた。一方、精子濃度、運動率は、BMI値と反比例関係にあった。
動物モデル実験と臨床試験の研究結果より、肥満が慢性炎症を引き起こし、男性生殖器に損傷を与え、生殖能力が低下すると立証された。研究チームは、肥満と男性不妊の相関関係を結論付ける。
(画像はPixabayより)

frontiers in Physiology
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