早産と膣内微生物
インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、「BMC Medicine」にて、妊娠期の女性において、膣内微生物・バクテリアの微妙な変化が前期破水(陣痛前の破水)や早産を引き起こし、新生児敗血症の発症率を増加させると発表した。
膣内に存在する健康的な微生物が減少し、有害な細菌が増加することにより、膣内バランスは乱れ、母子の健康に悪影響を与えるという。
また、前期破水した女性に対する抗生物質治療は、感染症リスクを軽減する効果があると報告された。
膣内微生物のバランス
研究チームは、妊娠期の女性250人、前期破水にて入院中の女性87人を対象に、膣内微生物・バクテリアのバランスと前期破水や早産における関連性を調査した。前者は過去に流産や早産を経験した早産リスクの高い女性と早産リスクの低い女性を含み、うち27人が早産であった。
被験者の膣分泌物を採取し、存在する微生物・バクテリアの種類やバランスを検査したところ、膣内の微生物(ラクトバチルス)が減少し、有害なバクテリア(ブドウ球菌、レンサ球菌)が増加していた。
同大学のデイビッド・マッキンタイア(David MacIntyre)氏は、被験者の半数以上に膣内微生物におけるバランスの乱れが認められ、有害なバクテリアの増加により前期破水や早産が生じると説明する。また、膣内に有害なバクテリアが増加することにより、出産時に胎児が細菌感染して敗血症になるリスクが高まるという。
抗生物質治療の効果
合わせて、研究チームは、膣内微生物の変化と抗生物質治療の効果について臨床試験を実施した。
膣内のラクトバチルスが減少している女性が、1日4回10日間「エリスロマイシン」を経口投与した結果、有害なバクテリアが減少し、ラクトバチルスが増加した。一方、ラクトバチルスが優勢で正常な膣内環境において、抗生物質の投与は膣内バランスを乱し、ラクトバチルスを減少させた。
抗研究チームは、ラクトバチルスが減少している場合、抗生物質治療は効果的であり、前期破水や早産の予報治療になると述べている。
(画像はプレスリリースより)

Imperial College London
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