妊娠・出産と認知変化
妊娠期や産後の女性は、多くが物忘れの酷さ、記憶力の低下を感じることが少なくない。妊娠や出産を機に物事を忘れっぽくなり、記憶力が衰える状態は、「赤ちゃん脳」「母親脳」と定義される。
今回、ディーキン大学の研究チームは、「Medical Journal of Australia」にて、妊娠や出産が女性の認知機能に影響を与え、激しい物忘れや記憶力の低下をまねくと発表した。これまで、赤ちゃん脳や母親脳は年齢が原因であると考えられてきた。
先行研究を用いたメタ分析
研究チームは、先行研究20件を用いて、妊娠している女性709人と妊娠していない女性521人を対象に、妊娠・出産と認知変化における関連性ついてメタ分析を実施した。
妊娠期の女性は、例えば車の鍵を冷蔵庫に入れた、予定や約束を間違えたなど、非妊娠女性と比べ、認知機能、実行機能、記憶力が低くなったと報告されている。特に、妊娠後期では、顕著な低下が認められた。また、記憶力の衰えに関しては、妊娠初期・中期に確認されたという。
妊娠期の認知対象
同大学のリンダ・バーン(Linda Byrne)准教授は、妊娠期の女性にとって最重要事項は胎児の成長、出産、産後の育児であり、妊娠・出産・育児に関連ない事象は記憶に留まらない傾向にあると説明する。
また、妊娠により集中力低下、放心状態が生じ、物忘れの増加や記憶力の衰えを引き起こすという。
(画像はPixabayより)

DEAKIN UNIVERSITY
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