男性生殖細胞とヒストンBigH1
バルセロナ生物医学研究所は、「Cell Reports」にて、幹細胞が分化して男性生殖細胞が形成される過程において、ヒストンBigH1が重要なタンパク質であると発表した。
ヒストンとは
ヒストンは塩基性タンパク質であり、DNAを構成し、遺伝子を制御する働きをもつ。あらゆる動物は、生殖細胞系列に固有するヒストンを有する。例えば、キイロショウジョウバエは雄雌の生殖細胞系列に発現する。一方、マウスとヒトでは、性別によりヒストンH1が異なる。
細胞分化におけるヒストンBigH1の役割
研究チームは、キイロショウジョウバエを用いて幹細胞から生殖細胞への分化過程について分析した。
論文主著者であるアルバート・カルボネール(Albert Carbonell)氏は、キイロショウジョウバエのヒストンBigH1が女性の生殖細胞系列に最も類似しているうえ、一部は男性の生殖細胞系列にも似ていると説明する。
分析結果より、ヒストンBigH1による働きが正常でなかった場合、雄のキイロショウジョウバエには性腺奇形が生じ、不妊となった。
ヒストンBigH1と不妊
研究チームは、ヒストンBigH1が、幹細胞から男性生殖細胞への分化過程に応じて、特定遺伝子の発現を促し、発現を抑制させると述べている。
研究は継続され、幹細胞から女性生殖細胞への分化過程におけるヒストンBigH1の役割を解明するという。
(画像はPixabayより)

EurekAlert
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